中空構造（空のカタチ）というテーマ

 軽井沢の標高は約1,000メートルなので、昼間天気が良いと、日差しがとても強い。陽の当たる場所は、気温がぐんと高く感じます。

このところ版画を制作していましたが、午前中は、どうしてもドローイングをしたくなりました。数日前、メールマガジンの読者様から、「2018年に購入した私の水彩画作品『春来』を今ご自宅に飾って眺めている」メールが届いたのです。先日配信したニュースレターに掲載した新作銅版画「クレナイハナカゴメ」にきっと何か繋がりを感じられたのだと思います。

『春来』

『クレナイハナカゴメ』

私は、その作品のタイトルを見ても作品が思い出せなかったので、自分のWEBサイトで検索して画像を見つけたのでした。見ているうちに、とても新鮮な気持ちがして来るのでした。それは、イタリアのファブリアーノ・クラシコという紙にシュミンケの水彩絵の具で描いたドローイングでした。

その画像は一旦閉じて、心の中に浮かんだ今の「春来」をセヌリエのアクリルインク・ブラシペンで新たにドローイングしてみました。

この構図は、「鳥は見ている（bird’s eye and view）」2013の作品で生まれたものです。それからちょうど10年。この10年で、私も日本の社会もかなり変化したように思えてならない。それでも何も変化していないこともあるでしょう。例えば、絵画制作への私なりの想いとか、情熱。色々と考えながらドローイングをして、改めてこの構図は、私にとって重要なモチーフなのではないかと気づいたのでした。

この構図は、私の内面を映す鏡であり、中空構造とされる日本人の心の様子や、社会の構造の象徴なのですから。