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紙の上の油彩画(oil on paper)について
今日午前中は、軽井沢町の議会議員選挙の期日前投票と、図書館図書返却、そしてツルヤスーパーに、1ヶ月ぶりに買い物に出かけました。とても天気が良かったけれど、風が結構冷たくて、かなりエネルギーを消耗してしまいました。最近は、自分のエネルギーをどのように一定に保つかを工夫するようにしています。この自分のエネルギー感が、作品の制作にとても影響するからです。
ですから、今晩もなるべく早く寝ようと思っているのですが、どうしても制作について記録しておかなければならないことがあるので、忘れないうちに書いておこうと思います。
今日考えたことは、紙に描く油彩画と、キャンバスに描く油彩画をどのように区別していくかということ。これまであまり真剣に考えて来なかったので、いろいろな種類、サイズもまちまちでoil onpaperの油彩画を制作していた状態でした。
最近になって、紙に油彩の作品は、私としては「油彩ドローイング」という捉え方で、価格を設定しているのですが、選ぶ側に立つと、どのような違いがあるのか今一つ分かりにくいのではないかと思います。
私がこの「油彩ドローイング」に使用している紙は、アルシュオイルというフランスのアルシュ社製の油彩専用の厚みのあるコットン紙です。アルシュには、版画用のベランアルシュという紙がありますが、その紙に比べて、表面がやや凸凹しています。私としては、もう少し表面が滑らかだったら良いなと思うので、必ずあらかじめダーマル樹脂と絵の具を混ぜて、滑らかな有色下地を塗ってから加筆して行きます。
この下地を塗ると、作品が完成した後、油彩独特のガラス質の光沢感が浮き出てきます。これがダーマル樹脂の効果です。同じようにダーマル樹脂を混ぜた絵の具を、キャンバス下地の白亜地やアクリルジェッソの地塗りに塗って見ても、効果は一味異なります。アルシュオイルという紙の表面に、独特なドーサ引きがしてあるからだと感じます。ドーサとは、和紙に加工されている墨や絵の具の滲みどめのことです。多分洋紙にも絵の具が染み込み過ぎないような加工がされているのでしょう。これが私がアルシュオイルを好んで使う理由の一つです。
二つ目は、キャンバス作品よりも軽いことです。2005年にドイツの国際アートフェア、ケルンアートを見に行った時に、キャンバスではなく、薄いアルミ板に油彩や写真作品が貼られていて、それが壁から浮かぶように設置されているのを見かけ、とても軽やかで魅力的と思ったものです。
早速自分の作品もアルミ板に貼って制作してみようと思ったのですが、アルミ板は近年価格がとても高騰してしまいました。そして、アルミそのものは、腐食しやすく、金属にどのようなノリで貼り付けるかという問題があって、結局アルミ板を使用することはやめたのですが、色々調べているうちに、この油彩用の紙に目が留まり、この紙でたくさんの油彩のドローイングが描きたいという夢が広がったのです。紙であれば、保管がしやすく海外に持ち運ぶのも楽そうです。
しかし一方で、デメリットも起きてきました。色々試せるようになって良いのですが、作風のまとまりを考えずに作品をどんどん制作してしまうということ。もう一つは、キャンバスに油彩の作品との棲み分けをどのように考えていったら良いか、なかなか答えが出てこないことです。実は、この紙を使った作品例を私は見たことがありません。海外ではどのような作家が、どのような作品を制作しているのでしょうか。とにかく画材の研究は尽きることがありません。
そして今日、気づいたことは、「頭でいくら素晴らしいルールを決められたとしても、何をどのように描くかという衝動は、私の直感と長年の本能のようなものに由来しないと、きっと制作に気持ちが乗らず、どこかで齟齬が起きてくるだろう」ということです。一度ルールを決めてしまうと、のびのびとした制作が押さえつけられてしまう側面が起きてしまうことになりかねません。
つまり、おそらく商業アートにありがちな、どこか勢いのない、あるいは虚勢をはった不自然さというのは、「頭の中の計算から出て来るものだからなのかも知れないな」ということにも気付かされました。人間の感覚とは、そういうところまで知らず知らず感じ取っているものだと思います。
ですから、やがては何らかの規則性や分類、スタイルが出来てくることもあるのかも知れませんが、今はむしろ制作の実験性、プロトタイプであることが私の油彩ドローイングの魅力として大切にして行きたい部分だと思っています。「整った完璧を見せる必要はなく、勇気を持って色々試していく姿を見せていく」そういう方向性が見えてきたことは確かです。
2019
oil on prepared paper
画:55x37.5cm
紙:55x37.5cm
販売詳細:https://kawadayuko.jp/atelier-gallery/product/midorinokaiji/
この作品では、私の作品には珍しく点描技法を取り入れています。
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