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「高額になることが作品の価値を高めること」なのか?
作品の販売について、ずっと考え続けていることがあります。はっきりした答えはまだ見えていません。
作品が高額になることが作品の価値を高めることだと誰もが考えることでしょう。
しかし、私には、どうしてもそうとは言えない世界が見えていて、そう単純には受け止められないのです。ですから、もし「高額になることが作品の価値を高めること」というのがこの世の原理原則であるならば、私はその原理原則の通用する世界の住人にはなれないと今の段階で気づいてしまっています。それが良いことなのか、ダメなことなのか、それが私の限界なのか、ずっと後にならなければ、私にも誰にもそれを正しく判断することはできないことでしょう。
私は活動の当初から、作品をなるべく誰もが買いやすい価格にして来ました。その代わりに、誰もがすぐに飛びつくような絵にはして来ませんでした。つまり、金額で購入者を選ぶのではなく、作品や私を十分に理解してくれる購入者様に出会えるように工夫して来たのです。
そのようにして30年近く発表活動をし続けますと、本当に作品を理解してくれる方々に恵まれ、一人また一人と、個展の度に出会うべき人と出会うことが出来ました。今では、私の顧客名簿リストには、約350人程のお名前があり、そのうちの5割以上は2点以上をお持ちです。長年毎年1〜2点のペースで集めて下さっている方もいらっしゃれば、大作を何点も買って下さるお客様もいて、入れ替え立ち替わり応援して下さいます。
そういうことで、作品の価値をどのように維持していくか、どのような価格で買っていただくのが良いのか、長年活動すればするほど、判断が難しくなって行きます。お客様を大切にして行くとはどういうことなのか、作品の価値が高まることが良いのか、それともずっと同じ価値を維持することでも十分なのか、真剣に考え続ける必要があるのです。
作品を購入しないお客様でも、10年後に突然買って下さることがあって、「こういう人は買わない」とか「この人は買わない人」などと決して決めつけられないように、いつどこでどんなに素晴らしい人と新たに出会えるかわからないのが、この活動の醍醐味です。これまでにたくさんの摩訶不思議な出会いがあり、その出会いの力に励まされてここまで制作ができているとも言えます。それはそれは、私自身が感動するような出会いばかりです。
「お客様は神様です」という名言が日本にはありますが、私も心からそれを信じて疑いません。作品を購入して下さる方々にどれほど力を頂いているか計り知れないのです。「お金とはエネルギーである」という言葉がありますが、お金は励ましのエネルギーの、ある一つの見え方にすぎません。本当のところはもっと見えない大きな力が作家を突き動かしています。その大きな力が、また次の作品を描く原動力になっていくのですから。
未来葉
2022
oil on canvas
15.8x22.7cm
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