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もう少し手際よく出来る作風
今朝は、早起きしたので、ゴミ出しついでに近所を散歩しました。まだ早朝は寒いのですが、鶯が囀り始めました。
GWに何の予定も入れていないので、ゆっくり制作をしています。軽井沢は、今グリーンフェスの時期で、たくさんの行楽客が集まっているようです。こういう時に外出すると、道路が渋滞しバスが全く動かなくなるので、じっとしているしかないのです。
午前中は、iichiというクラフト系のオンライン販売サイトに設置した自分のショップ「Nagano Studio Kawada」に、版画作品を4点アップロードして販売する作業などをしていました。もうすでに3つの「いいね!」がついていて、モチベーションが上がります。
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今日制作で考えたことは、制作のスピードについてです。私は中学生の時に美術の先生に「川田は手が遅いので減点」と言われたことがありました。その教師は、デザイナー系の出身だったようで、注文にスピーディに対応できることに価値を置いているようでした。
私はこのことがあって、「人が時間を掛けられないのなら、私はたくさんの時間をかけて制作することが持ち味になる」と、当初考えていた節があります。そして「ファインアートはデザインではないのだ」と強く思い込んでいました。
そのことも単なる思い込みに過ぎません。しかし、その思い込みで、今まではそれなりの作風が確立したと思います。
しかし、イタリアで版画制作を学んだ経験は、私に変化をもたらしました。短い滞在期間に、なるべく多くの版を制作して、経験を積みたいと思ったのです。それは切実な自分の気持ちからです。どのようにしたら、シンプルなのに見応えの出来る画面が作れるか、とても考えさせられました。
そうは言っても、結局は観光する時間を削って、図書館やホテルで時間を掛けて版制作に没頭しました。もう少し足を伸ばして、近隣の美術館に足を伸ばしても良かったのではと反省することもあります。
それでも頭の中に、「もう少し手際よく出来る作風のシリーズも、持っていた方が良いのではないか?」とずっと考え続けています。
そういえば、このような経験もありました。今から20年くらい前のことになります。当時私はスクラッチだけの作風から、ハッチングも加える作風に変化した時のこと。私は2倍の手間を換えるようになって、色も複雑に加えることができるようになりました。
ところが、「以前の方が良かった。手を抜くようになったんですね。」とまで言われてしまったのです。それは全く、予想もしない感想で、正直とてもショックでした。もうその頃には、スクラッチの技法は、私にとっては簡単で物足りなくなっていたのです。ところが制作過程を知らない人にとっては、どれほど時間を掛けていることよりも、もしかしたらシンプルである方が強い作風に感じられたのかもしれません。
結局のところその感想には聞く耳持たずで、自分を信じてハッチング技法を前面に推し進める制作を展開しました。しかし、その感想からもわかるように、人は案外制作の細かいところまでは読み取れないものなのだ、ということなのです。ですから、難しい方法を取ろうが、楽な方法を取ろうが、それは作品そのもの自体の良さにはあまり関係がありません。むしろ、その技法が自分でしっくりしているかどうかとか、本当にしたいことなのかどうかが大事なのだと思います。そして、結局は自分のその時の感覚を信じるしかありません。
今制作している油彩ドローイングは、縦に細いストロークのハッチングの線描を見せる作風に戻って来ています。これは2017年頃に一度キャンバス作品でいくつか発表したものです。「かろやかな浮上」や「緑光」という作品がありました。この手法での紙に油彩の作品はなかったことに気づき、先月の終わりから始めています。
キャンバスの組み立てから始めるよりも、紙に有色下地を塗ってから、すぐに線描を入れられる分、私にとってはそれほど負担がありません。22x22cmのサイズの描画であれば、最短で1日で作っています。とは言え、出来てからしばらく観察して、最後の筆入れをする手間を省くわけではありません。今日は「花の夢想」に最後の筆入れをして、かなりソフトで、ふわりとした空気感を出せたと思っています。
今月はそういう意味でかなりまとまった枚数を、20日配信のメルマガ「画家川田祐子のニュースレター」に掲載できるかもしれません。
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