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作品が売れた時の思い
昨日、「Butterfly Effect」と「瞬隙の音」のご注文があったので、今朝から額装作業をしました。額縁は、それぞれ四つ切サイズ額と大衣サイズ額に入れました。設置の仕方は、フロートマウントという浮かしの方法で、全てアトリエで手作業をしています。この方法ですと、マットの窓枠を切る必要がないので、いちいち額縁店に足を運ばなくても出来るのが利点ですが、細かい手作業で少し時間がかかります。自分の作品なので、作品を扱うことに緊張感はありませんが、すでにお支払い完了となると、作品を傷つけないようにと少し緊張することがあります。
それにしても、この作業が好きなのは、フロートマウントで額に入れると、ぐっと作品が別人のようによそ行きの顔になることです。その瞬間は、本当にいつでもそう思うのです。そして、注文がなくても額装して自室に飾っておけば良かったと思ったりします。
日本語には、「箱入り娘」という言葉がありますが、まさにその言葉がぴったりです。大切なものは、何でも箱に入っています。ですからアート作品も、額に収めると、急に大切なものに見えて来るのです。不思議です。
今回ご注文のお客様は、ずっともう12年くらい前に、画廊でキャンバス絵画を買ってくださった人で、今回銅版画とシルバーポイントのドローイングという、「3種類の作品を集めることが出来て、届くのが楽しみです」とメールに書いて下さいました。
私の制作には、さまざまな種類のいろいろなものがあるのですが、そのことを良いこととして思って下さる人が一人でもいることを、今回はっきり自覚することが出来て、つくづく「いろいろなことに挑戦して来て良かった」と思えたのでした。
とりわけ、「Butterfly Effect」は2019年にイタリアのフィレンツェで、自刻自刷して制作した作品の中で、一番最後に制作したメゾチント作品です。私自身、この作品をいつ見ても、胸が熱くなります。
フィレンツェでの銅版画修行のために、その1年前から一生懸命毎日イタリア語を独学し、骨折の痛みに不安になりながらも、勇気を持って挑んだイタリア滞在。十分な資金がなかったにも関わらず、結果イタリア滞在中にご支援が届いて、イタリア語学校の授業が受けられたり、メゾチント用のベルソーという道具が買えたりと、何もかもが奇跡の連続でした。
その生活の中で、時間を惜しんで図書館で、シェアハウスで、そして割安ホテルで銅版を刻んだあの日々、やっとその日々が報われたように思えて、心から嬉しく、感謝しながら「Butterfly Effect」を額装をしたのでした。これら2点は、明日発送予定です。
向かって左:
瞬隙の音
2021
silverpoint and conté on paper
42x29.7cm
https://kawadayuko.jp/atelier-gallery/product/shyungekinone/
向かって右:
Butterfly Effect
(地球の裏側の蝶)
2019
メゾチント
ed.5
画:32.5x23.5cm
紙:38.8x26.7cm
https://kawadayuko.jp/atelier-gallery/product/butterflyeffect/
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